設立への想い
小麦粉を水で溶いて薄く焼き、ネギや削り節などを乗せて食べる「一銭洋食」は、戦前の駄菓子屋で、おやつとして親しまれていました。これが広島の「お好み焼き」の前身と考えられています。

1945年8月、広島市に原子爆弾が投下され、広島は一瞬にして焼け野原となりました。失望感と食料難による餓えに人々が苦しんでいた中、焼け野原にあった鉄板と、アメリカからの食料支援としての小麦粉(メリケン粉)の出合いにより、再び一銭洋食が作られ始めました。やがて戦後の復興の歩みとともに、具材にキャベツや卵、豚肉、そばなどを加えながら、現在の「お好み焼き」へと進化しました。広島の「お好み焼き」は、戦後の復興の象徴「ソウルフード」とも言われています。

また「お好み焼き」の材料に制約はありません。小麦粉とキャベツをベースに、冷蔵庫の余り物や料理の残り物を材料にすることも出来ます。一方世界においても、各国それぞれの土地で手に入る食材で作ることが出来ます。世界人口は増加の一途をたどり2045年には90億人を超え、それに伴っての食料危機も指摘されていますが、「お好み焼き」は食料危機への一助にもなり得る可能性を秘めていると考えています。

加えて、「お好み焼き」は基本的に鉄板を囲んで食べるものです。そこには家族や友人、職場の仲間たちと語らうシーンがありますが、大切な仲間と賑やかに語らいながらの食事は身体だけではなく、心の栄養にもつながると考えています。

以上のような経緯、特性を踏まえて、一般財団法人お好み焼アカデミーを設立し、「お好み焼き」及びそれに関連する食文化の調査研究を通して「お好み焼き」を広く世界に普及させることに寄与したいと考えています。
平成26年4月1日
代表理事  佐々木 茂喜